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「実利用データ」と「移動データ」を結びつけるPonta Mobility

「実利用データ」と「移動データ」を結びつけるPonta Mobility

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山口 寛士
代表取締役
ヤマヒロ株式会社
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石野 真吾
先進技術事業開発 ディレクター
株式会社スマートドライブ
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鏑木 喜大
IDマーケティング営業第三部 シニアマネージャー
株式会社 ロイヤリティ マーケティング

共通ポイントサービスの「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティ マーケティングとモビリティデータを活用したサービスを提供しているスマートドライブが連携し、昨年5月からスタートした実証実験が、次のフェーズを迎え、サービスインに向けて少しずつ歩みを進めています。今回はフェーズ2でご協力くださったヤマヒロさまを迎え、得られたデータとその結果から、今後の可能性についてディスカッションを実施。実利用データ×移動データにより、消費者へどのような行動変容を促すことができるのでしょうか?

共通ポイント「Ponta」を運営するロイヤリティ マーケティングとPonta Mobility

鏑木:共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営しているロイヤリティ マーケティングの鏑木と申します。本セッションでは実証実験中のPonta Mobilityの説明と協賛いただいたヤマヒロ株式会社の山口様をお迎えしたトークセッションをお送りします。

株式会社ロイヤリティ マーケティングは、ポイントカードのPontaの運営、ポイントプログラムの運営で取得したデータを活用したマーケティング支援の二本柱でビジネスを展開している企業です。より利便性の高いサービス設計を目指し、次々と新しい取り組みに挑戦している中で、Ponta経済圏以外の消費者の特徴を捉えることにも着手しています。その一つがこれから紹介するPonta Mobilityです。

Ponta MobilityはMaaSプロダクトの1つであり、Pontaカードの利用履歴とPonta Mobilityで取得した移動データを活用し、消費者の態度変容を促すサービスの構築を目指しています。消費者に対しては、モバイルアプリから取得した消費者の行動情報とPontaカードの利用履歴をもとに、オススメの情報をプッシュ通知でお知らせしたり、企業目線では、競合店舗に訪れる消費者に対してアプローチを行い、スイッチングを促したりできるサービスになっています。

私たちのサービスは、Ponta会員IDという固有のIDをハブに多様なサービスを提供していますので、このIDを通じて、従来からあるポイントカードの利用履歴とPonta Mobilityの移動データを掛け合わせることができるのです。

この取り組みは、スマートドライブの石野さまと弊社の担当者の間で、「ロイヤリティ マーケティングとスマートドライブのアセットを掛け合わせて何かできないか」と話したところから始まりました。議論を重ね、アイディアを具体化したものがこのPonta Mobilityなのです。

R&D(研究開発)案件として2019年末にスモールスタートし、サービスインまでのフェーズとして4つのマイルストーンを立て、最後に本格ローンチする計画を立てました。

Ponta Mobilityの各フェーズと目的

・フェーズ1

車社会の地域で、5名にモニターとして参加いただき計測デバイスでデータを取得。移動データの提供に関するユーザーインタビューを実施。

・フェーズ2

首都圏で200名を対象に実施。計測デバイスとスマホアプリで取得した移動データをもとに、クーポンや広告をスマートフォンへ配信し、店頭への集客効果や行動変容を分析。

・フェーズ3とフェーズ4

フェーズ3は規模を拡大する、フェーズ4ではスマホのみで計測できるβ版をリリースする予定。

フェーズ1、2の取り組みについてもう少し詳細を説明させていただきます。2020年の5月から8月にかけて、自動車を日常的に利用しており、Pontaポイントをよくご利用されている5名のPonta会員様にモニターをお願いしました。

実証実験は富山県と石川県の北陸地方で行い、モニターさまにシガーソケットに挿すだけの計測デバイスを配布し、データ収集のみを実施。終了後は参加モニター様にユーザーインタビューを行い、より細かな情報を収集しました。また、システム面では移動データが正確に取得できるかどうかを確認し、サービス面では問題がないことを確認できたため、フェーズ2に進む判断をしました。

2021年2月から3月末の期間に実施したフェーズ2では、200名のモニター様を対象に首都圏で計測デバイスとスマホのアプリを複合的に活用してテストを行いました。この実験では小売や自動車保険を提供する企業からアプリ上で表示させるクーポンをご提供いただき、移動状況やPontaポイントの利用状況など、各種条件に応じたクーポン内容の出し分けによってどのような態度変容が起きるかを検証しました。

本セッションに同席されている、出光興産の特約店にあたるヤマヒロ様は、東京や埼玉でサービスステーションやレンタカー、中古車販売や整備工場などカーライフ事業とともにコンビニも運営されていますが、同社よりこれらサービスに関する値引きクーポンを3種類ご用意いただき、異なる配布方法を用意し、ユーザーの態度変容がどのタイミングで起きるのか、具体的な反応数字を計測しました。現在はサービス運営上の課題を洗い出し、企業のニーズに沿ったプロダクトになり得るのか否かを数字やインタビュー情報をもとに整理しているところです。

最終的には、Ponta Mobilityの精度を高め、スマホアプリとデバイスを活用して地域を盛り上げる仕組みを構築したいと考えています。たとえば、特定地域で経済を活性化させる目的で、ユーザーがお店に立ち寄るとその都度、アプリ内ポイントが付与され、ポイントがたまるとプレゼントをお送りするなどです。ポイント付与のみのプレゼントでは、特定地域の経済活性化に直結させることが難しいと考えていますので、消費者に直接リサーチしたうえで決めていければと考えています。そういった取り組みを、今年の夏から秋にかけていくつか仕掛けていく予定です。

ターゲットは、地方創生をMaaSの切り口で推進していこうとお考えの企業を想定しています。これから何かを仕掛けようと動いている企業様が、計画中のプロジェクトは本当にユーザーのニーズに合致するかどうかを確認する目的で、ご活用いただければと考えています。

Pontaカードの利用履歴と移動データに加え、弊社が持つさまざまなアセットを使うことで、エリアやユーザーニーズの下調べが行えますし、Pontaリサーチによる調査やプロモーションも可能です。

また、私たちの広告媒体を使用してPonta会員に訴求したり、結果の効果測定を行ったりするところまで一気通貫で実施できる、それがロイヤリティ マーケティング最大の強みです。

Ponta Mobilityの実証実験を通して得た気づき

鏑木:ここからはヤマヒロの山口様とスマートドライブ石野様を交えたディスカッションを行っていきます。

石野:スマートドライブで事業開発を担当している石野です、よろしくお願い致します。

山口:ヤマヒロ株式会社の山口と申します。ヤマヒロは東京と埼玉に昭和シェル系列のガソリンスタンドを34店舗構え、その他車のアッパーサービスに関わる事業を展開している企業です。宜しくお願いします。

石野:Ponta Mobilityの取り組みにご参加いただいた感想をお聞かせいただけますか。

山口:きっかけはスマートドライブと業務提携を結ばせていただいたことでした。ロイヤリティ マーケティングさんとスマートドライブさんが本プロジェクトを進め、フェーズ2に向かって準備を進めている時に、リテール企業を探されていたので、即座に手を挙げました。

実験終了後、ロイヤリティ マーケティングさんからフィードバックを受け、多くの学びと気付きを得られたというのが率直な感想です。他店舗を利用しているユーザーに対し、移動情報を使ってヤマヒロに誘導した場合、どのような販促なら行きたいと思うのか、逆に他店に行ってみようという感情が起こるのか、今まで気づかなかった部分に気づくことができました。ガソリンスタンドの強みは “最寄り性”です。ですから、無理な販促を打つより、近くにお住いの方にどれだけご利用いただくかがカギだとわかったのです。

石野:通常、クーポンはすべてのユーザーに一斉配信するものがほとんどです。しかし、移動情報が分かることで、普段からどの店舗をよく利用しているのか、日常的には別の店舗を利用しているけどクーポンをきっかけにヤマヒロ様の店舗に訪れたのかがわかると。

山口:また、エリアによって販促の内容を変えることで、異なる結果が得られるかもしれないというのも新たな気づきでした。

石野:ロイヤリティ マーケティングさんの立場から見て、今回の取り組みはいかがでしたか。

鏑木:プラットフォーマーとしての立場でお伝えすると、今までは施策を実行する前にある程度、結果を想定して、キャンペーンを打った後に実際の反応や効果を数字で調査していました。

この実験ではユーザーがキャンペーンに反応した本当の理由を理解するために、リサーチで直接、ユーザーの生の声を伺いましたが、想像と実際の声では、行動に移した理由や肌感が全く異なるのだなと感じました。通常のキャンペーン調査ではユーザーに直接話を伺う機会は少ないため、お客様の生の反応を実感できたのは、非常に大きな収穫だったと思います。

石野:今まで点で取得していたデータが、移動実績と合わせることで、ユーザー一人ひとりを深く理解することにつながった。それが今回の取り組みで分かったことではないでしょうか。

Ponta Mobilityの実証実験では、各フェーズでユーザーのみなさまにインタビューをされたそうですが、そこの中で得られたインサイトは。

鏑木:利用履歴や移動データなど、個人の情報の提供に対してネガティブな反応があるのではと不安視していたのですが、意外と寛容に受け取ってくださったようでした。データを受け渡す代わりに、自分にとってのプラスの要素、たとえばクーポンやポイントの提供があれば快く協力してくれることがわかりました。

石野:クッキーの規制が進む中、個人情報や移動情報の取り扱いは今まで以上にセンシティブな領域になっていますので、丁寧にオファリングを出して許諾をいただくことは重要ですね。

来たる時代に向けてチャレンジを続けること

石野:世の中全体が脱炭素化へ進む中、ヤマヒロさまは非常に厳しい経営環境に直面されているかと思います。今回の取り組みをはじめ、新しい取り組みへ積極的にチャレンジされていらっしゃいますが、根底にはどのような考えや思いがあるのでしょう。

山口:周囲からも「ガソリンスタンドは、この先大丈夫?」と言われますが、弊社はガソリンスタンドの他に整備事業やコーティング、レンタカー事業を展開しており、また一定のマーケットシェアを持っています。ガソリンスタンド業界はこれから衰退に向かうかもしれませんが、他のマーケットも含め何ができるか、私たちがチャレンジを続け、背中を見せていくことが業界に良い刺激を与えると考えています。

ヤマヒロがビジョンに掲げているのは、「東京(経済圏)の街の暮らしをスマートにアップグレードする」こと。世界でもトップクラスの東京経済圏をどのようにスマートに、そして良い社会にしていくか。そこへ貢献できれば私たちの事業が無くなる事はないとの思いで、まずはチャレンジをして、振り返りをして、自分たちが進む道を探して行こうとしているところです。

石野:素晴らしいですね。ロイヤリティ マーケティングさんはさまざまな業態の企業と連携されていますが、ヤマヒロさんのような企業は他にいらっしゃいますか?

鏑木:新規事業へ積極的に参加したいという企業は一定数いらっしゃいますが、私たちのビジネスと親和性を持ってサービスを開発するには、互いの相性が重要です。ヤマヒロ様はシェルの特約店としてもともとPontaポイントをご利用いただいておりましたので、今回のプロダクトにベストマッチしました。

石野:ヤマヒロの山口さまに伺います。新しい事に取り組まれる中で注意していること、重視していることがあれば教えてください。

山口:まずは、連携する企業について理解を深めることを大事にしています。世界に目を向けると、魅力的なプロダクトやサービスが数え切れないほどありますし、見ていてうらやましく感じることも少なくありません。スマートドライブさんは移動データを活用して、次々と新事業を展開しているところが羨ましいと素直に思います。

ですが今までの歴史から、ヤマヒロは東京という地で小売りサービス業に特化することが強み。そこで新しい道を探すことを意識していますし、他にはでいない道が見つけられるのではないかと思っています。

石野:既存の市場とお客様を中心に置きながら、次なる事業の一歩を生み出そうとされているのですね。

EVへシフトする中、自動車業界はどのような変革を起こすべきか

今回Ponta Mobilityに参加されてフィードバックも多くあったかと思いますが、山口さまのお立場から、どのような企業が参加すると良いと思われますか。

山口:弊社はローソンのフランチャイズに加盟しているので、フィードバックと合わせてパッと思いついたのはローソンです。キャンペーン商材を作ってそれを販売する時、移動情報とポイントの部分を掛け合わせて販促を打ったら跳ねる気がしますね。ローソンは日用品も扱っていますので、プラスαの購入が期待できますし、一人当たりの客単価を上げながら来店数を増やすことができると思います。

石野:移動データを取得できれば、ガソリンスタンド以外にも、コンビニ、ディーラーなど、どこへどれくらいの頻度で通っているかも把握できます。このターゲティングデータをもとに、よりパーソナライズされたキャンペーンを打つことで客単価や来店頻度の向上が狙えるのではないでしょうか。

では、同様にロイヤリティ マーケティングさんの立場からするとこの取り組みは他のどういった企業様と相性が良いと思われますか。

鏑木:リアル店舗をお持ちのリテール企業さまはMaaSとの相性が良いと思います。加えて、何時何分にどこからどこまで移動したという移動データを活用してビジネスを開発したいとか、移動データ自体が自社サービスの設計に繋がるとお考えの企業様にはフィットするかと思います。

Ponta Mobilityをメディアに、そしてお客様を誘致するための施策の場として考えていただいて、本プロダクトの上に企業様の構想されているサービスを試験的に載せ、POCを行っていただく。そして、新しいサービス開発に繋げていただければと思います。

石野:では、最後の質問です。世の中全体でEVシフトが進んでいますが、ガソリンスタンド34店舗運営されているヤマヒロさまとしては、今後、事業をどのように変革していきたいですか。

山口:正直なところ非常に厳しい局面に立っていますし、変革が必要不可欠です。ただ、時間軸を長く持ち、焦らないことが大事。経済産業省では、2030年までに再エネ比率を25%にするという目標を掲げています。つまり、2030年におけるガソリンのボリュームは75%。この時点ではまだガソリンスタンドはまだ運営できますので、私自身は2040年が危険水域だと捉えています。

2040年までは今からおよそ20年あるので、事業の立ち上げに7年〜10年かけても何とか間に合うという時間軸。世の中はめまぐるしいスピードで変革していますが、早めに食いついてしまうと中小企業では持ちこたえられません。政府や世の中の動きをしっかり読み取りながら、今後の歩みを検討していくべきでしょう。先進的な取り組みをされているスマートドライブさんやロイヤリティ マーケティングさんと接点を持ちながら、情報を交換しながら、踏み込むタイミングを図っていきたいと思います。

石野:EV関連の取り組みが増えていますが、新しいチャレンジをする時は長期的な視点を持って積極的にチャレンジすることで事業領域を見極めていかれると。

山口:弊社のガソリンスタンド事業は来年で70周年を迎えますが、2040年には90年を迎えることになります。0から再び90年と考えると、新しい事業を作るのは簡単な事ではありません。ですから、長期的に持続可能な事業を作っていくにはそれなりの時間が必要だと捉えているのです。

石野:今後も一緒に取り組んでいきましょう。最後に、お一人ずつメッセージをいただけますでしょうか。

鏑木:弊社はPontaカードのデータを通じてユーザーのニーズや消費動向を補捉してきました。そこへPonta Mobilityで移動データが加われば、データが点から線となり、よりユーザーのニーズを的確に捉え、無駄の無い消費を提供できると考えております。

今後も実験を続けてまいりますので、β版をリリースした際はぜひご活用いただければと思います。もし、このプロダクトに興味を示された企業様がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。一緒に新たな価値を作っていきましょう。

山口:Ponta Mobilityプロジェクトに参加させていただき、ありがとうございました。振り返りを受けて、「やっぱり」と納得する部分や新たな気づきを得ることができましたし、私たちの見識がレベルアップした気がします。これからもこういったプロジェクトに積極的に参加して、私たちの取り組みをレベルアップし、企業として成長を続けるために努力を続けたいと思います。

石野:お二人ともありがとうございました。

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