中編:レガシー産業だからこそイノベーションを起こせる!IoT×Dataで新たな時代を切り拓くクレストの挑戦

中編:レガシー産業だからこそイノベーションを起こせる!IoT×Dataで新たな時代を切り拓くクレストの挑戦

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永井 俊輔
代表取締役社長 CEO
クレストホールディングス株式会社

前編ではクレスト社の理念や、後のエサシー開発に至る着想のきっかけを伺いました。中編ではエサシーについてより詳しく紹介いたします。

IoTで店舗をトラッキングして可視化する

クレスト社が提供しているesasy(エサシー)の紹介からお話を伺いたいと思います。

阪本:「まずは、エサシーで取得できる3つのデータについて解説します。エサシーのカメラは3つのモードで動きます。1つは、カメラの前を何人の人が通ったのかという交通量の集計です。2つ目はディスプレイを見た人数、つまり視認量のカウントです。そして、3つ目がカメラの画角内に映った人の年齢や性別が推定できる年齢性別推定のデータです。

店舗内にこれら複数台カメラを設置して、それぞれのデータを取りながら、足し算、引き算、掛け算、割り算をして、データの分析を行います。すべて、時間別のタイムスタンプを持っていますので、時間別・日時別・週別、月次など、時系列でデータを分けて、お昼時に来客が多いとか、このディスプレイは水曜日によく見られるといった情報がわかるようになるんです。さらにこの3つのデータは、近隣の交通量や天気など様々な外部のデータとも連携できます。これらによって、今まで可視化ができなかった店舗内の人の動き、つまり、実店舗の内外で起きていることをデータとして集計し、POSデータとの相関関係を分析することができるのです。

カメラ単体だけではなく、店舗のトラッキングとデータ分析まで含めてエサシーというサービスです。そのため、納品時RAWデータのままでもお渡ししますが、Googleデータポータルでダッシュボードとしてビジュアライズし納めさせていただいく場合もあります。」

江刺家:「IoTユニットには、先述した3つのデータを取得できる『esasy camera(エサシーカメラ)』と、広告配信プラットフォームや店舗内の導線が取得できる『esasy Beacon(エサシービーコン)』の2つがあります。サービスとしてはデータの結合まで行いますが、サービスとユニットは、ちょっと視点を分けているんです。」

永井:「いまだにハンドカウンターを利用して人数を集計している店舗さまもいらっしゃいますが、複数の場所から取得したデータをダッシュボードで集計すれば、結果をグラフ化して、一目でわかるようになります。

確かにハンドカウンターでも来店者数は取得できますが、手作業ですと営業時間のみの集計になってしまいます、esasyであれば夜間など閉店後でも店舗ディスプレイのパフォーマンスを集計することができます。

エサシーは人がどこを見ているのか、顔の向きまで撮ることができますので、どこに興味関心を示したのかなど、今までわからなかった情報まで知ることができる。ですので、今までハンドカウンター頼りにしていた店舗様にとって、大きなイノベーションを提供できるのではないでしょうか。」

ダッシュボードはお客様の要望に合わせて作っているのでしょうか?

阪本:「そうですね、ダッシュボードをフォーマット化できれば良いのですが、現状はほぼ、お客様に合わせて作っています。」

永井:「マーケティング系のツールは、大抵、ダッシュボードの形が決まっているじゃないですか。しかし、お店は店舗数が1店舗の会社もあれば100店舗の会社もありますし、店舗の形もすべて異なります。お客様には、カメラの設置場所も設計した状態でご提案していますが、各々、取りたい値も注力しているところも、マージさせるデータも違うため、一つのフォーマットに統一することが非常に難しいんです。

私たちは職人さんとともに場に行く力を持つ、既存のレガシービジネスがあるからこそ、そこまで時間とコストをかけてでもお客様の要望を形にできる。それが一番の強みでもあります。」

阪本:「大枠のテンプレ化はできるとは思っています。ただ、何かしらの最適解や重要な最大公約数が見えてはいるものの、『そもそも店舗の解析って??』というお客様もいらっしゃいます。

ですので、今はお客様と真摯に向き合い、度重なるヒアリングを重ねて、一緒に数値や係数を作っています。」

現場を知っているからこそのノウハウ

ちなみに、カメラの設置場所も知識や技術が必要ですよね。現場を知っていなければできないことだと思います。

阪本:「カメラ設置位置のプランニングと実際の施工は基本的にクレストが担当しています。なぜなら画像解析を行ううえで最大のネックになるのが画像の映り方だから。写り方によって解析結果が変わってしまうのです。

たとえば、路上の様子を屋根の下から撮影するのと、ある程度、光が入るところで撮影するのとでは、逆光の加減が違います。午前中は全然撮れなくても、夕方は良く撮れるというように、外的要因によって数値にゆらぎが生じてしまうので、細かくチューニングしなくてはなりません。」

永井:「わかりやすく車の話に置き換えてみましょう。普通車を自動運転させるために、カメラキットを渡して指定位置に装着してもらうように伝えるとします。ただ、ここでもし、カメラの設置が指定位置から1~2mmずれていたら…? 事故の確率がグッと上がりますよね。だから、テスラ車はすべて、1 mmもずれがないように、デフォルトで決まった位置にカメラが埋め込まれているんです。

つまり、これと同じことが、実店舗の世界でもできるということです。新規出店の場合、施工時にカメラを埋め込ませてもらっています。今後はカメラを含め、データを取得できる状態がスタンダードになると思いますし、そうなれば世界観が一つ上のレベルに行けるはずです。これは私がテスラに乗っているので、実際に埋め込まれているカメラからヒントを得ました。」

テスラからヒントを得たというのは面白いですね。既存の店舗への設置はすでにいろんな造作物があるので、ベストな場所を探すのが大変ですよね。

永井:「今は店舗優先の為後付けでサービスを提供していますが、本来は、データに揺らぎが出ないようゼロから設計できることがベストですね。」

阪本:「他社さんで多いのは、全体が映る位置に天井に穴をあけてカメラを設置する方法ですが、私たちは移動可能なカメラユニットを提供していますので、固定させる必要もなく、必要な数だけご契約いただけるのが大きなメリットです。そうすれば出費も最低限ですみますしね。

今は、店舗に置くだけで簡単に計測ができる、カメラを埋め込んだ什器の開発を進めています。」

“カメラを目立たなくする”ことに対して、クレストだからできる施策を教えてください。

江刺家:「クレストが蓄積してきたナレッジを使って、今までに何度も完全にカメラを目立たないようにする実験を重ねてきました。ですので、できなくはありませんが…撮られる側、カスタマー側の目線で立つと、隠し撮りと同じことになってしまうので不快な気持ちにさせてしまうことに気づいたのです。

そのため、カメラの隠し度合いについては、クレストのポリシーというより、設置するお客様のポリシーに準じて対応させていただいております。カメラの設置をなるべく秘匿したいというお客様もいらっしゃいますし、あえて目立つ場所にエサシー置いたところ、万引きの被害がかなり減ったというお客様もいます。日頃から接客面でも非常に細かな配慮を配っておられるハイブランドへの導入の際もお客様の要望に合わせ対応できることがエサシーの特徴の1つですね。」

なるほど。隠すことも、見せることもできるのは、レガシーの技術があるからお客様のご要望に合わせて振り幅を調整できる。

永井:「実際にガーデニング事業のリアル店舗持っていますので、いくらでも実証実験ができますしね。」

それは大きな強みですよね。

後編では、料金体系なども含め詳細に伺います。また、IoTを活用したコラボレーションの可能性などについても語っていただきました。

>>>後編に続く

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