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[配車計画] 次世代TMS構築に向けたパスコの取り組み

[配車計画] 次世代TMS構築に向けたパスコの取り組み

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井手 修平
システム事業部 営業統括部長
株式会社パスコ

[本記事は2020年10月29日に開催されたセミナー「物流現場で求められるデジタル変革とは?」の登壇レポートです]

今や物流業界において避けられないと言われていいる「デジタル変革」ですが、様々なサービスやシステムがあり、どこからどのように手を付けて行けばいいのかなかなか判断するのが難しいのが実情。
そこで本セミナーでは、物流の流れを3つの切り口「配車計画」「バース管理」「動態管理」に分け、それぞれどのような課題があり、デジタル化によって何をどう解決できるのか、3社から具体的な内容に踏み込んで紹介を頂きます。
本記事では、株式会社パスコ様より「配車計画」をテーマに紹介します。

次世代TMS構築に向けたパスコの取り組み

皆様こんにちは。株式会社パスコの井手です。私のパートでは、配車システムに関しての弊社の取組みを中心にお伝えできればと思っております。

パスコについて

株式会社パスコと聞くと、数年前まではパン屋さんかと言われることが非常に多かったのですが、ここ数年は「配車システムを提供する会社だね」とお声かけいただくことが多くなりました。我々は人工衛星、航空機、車両などを使って空間情報を収集し、地図をつくる会社であるというのが特徴となります。経営ビジョンに「地球をはかり、未来を創る」とあります通り、パスコは最高レベルの空間情報を提供することで、安心で豊かな社会システムの構築に貢献するということを掲げています。

では、空間情報の収集とはどういったものがあるのかというものを簡単にご案内します。弊社は地球上のあらゆる空間情報のデータを収集、解析を行うところがコア・コンピタンスとなっており、20基の衛星を持ち、光学センサーやマイクロ波センサーを取り扱っております。さらに販売権だけではなく衛星の撮影権、コントロール権まで有しながら運用を行っている特徴があります。大規模災害時などには、地上で構えている受信局を通じてリアルタイムに被災状況を衛星からダウウンロードして解析を行い、地方自治体に提供するといった取組みも進めております。

航空事業では43機のチャーター機を保有しており、空撮を行うだけではなく、様々な光学センサーを搭載して空から地球を観測しています。地上においては、計測専用車両として23台の超高精度道路地図データを計測できる専用車両を有しており、自動走行用のプロジェクトにも参画しています。さらには、最近ですと船による海底の計測なども始めております。

このようにパスコが収集した空間情報に加え、国土地理院や国交省、気象庁、地方自治体などが提供するオープンデータ、さらに通信事業者や自動車メーカーが提供するプローブデータ、ドライバーさんなどが持つデジタコ・スマートフォン・カーナビゲーション等から収集できる情報についても、我々は地図上で一元的に管理し、マッシュアップを行ってお客様にお届けすることができます。これらを用いて道路や都市計画、防災、上下水道、教育、様々なところで社会課題を解決していくというのがパスコです。

では、このパスコが物流業界とどのような関わりを持ってきたかについてご案内します。まず弊社では1990年にカーナビ用の地図データのDBのオーサリング業務というのを開始。2002年には3次元表現データを、弊社の車両で計測した情報をカーナビメーカーさんに提供して、その加工解析を受託する、という業務から開始いたしました。そして2003年から物流業界向けのソリューションである「LogiSTAR配車管理簿」の提供を開始。カーナビ事業で培った地図データベースの取り扱い、更には1対1から1対n、n対nへのネットワーク計算、様々なノウハウをベースに地図情報と解析技術を融合したTMSとなっております。更に2014年には自動走行社会の実現に向けて、超高精度道路三次元データの計測を開始し、2016年には三菱電機、ゼンリン、パスコが筆頭の株主となって「ダイナミックマップ基盤企画会社」の設立に参画致しました。2018年度には約3万kmのデータ整備を完了し、これからも自動走行用の超高精度データ作成業務というものに軸足をおいて事業を進めていこうとしています。

パスコが提供するTMSについて

パスコは地図を扱う会社、空間情報を生業とする会社です。そのため物流ソリューションとしても、いわゆるTMS(Transportaion Management System)と言われる領域を得意としております。

分析(流通ネットワーク見直し)

物流の流れの中では、まずは上流として、荷主様/メーカー様、3PL事業者様、運送事業者様における物流ネットワークの見直しや、DCから地方のデポを経由した地場までの物流ネットワークの検討、センター設置見直し、昨今では小売事業者さまにおける、会員カード情報を元にした店舗物流センターのあり方を分析するようなソフトウェアの導入、及びコンサルティング事業に積極的に取り組んでいます。 

計画(配車業務支援)

中流にあるのが配車組み、効率的な配送計画を作成するための支援です。弊社で提供している配車支援システムは現在450超の拠点に導入いただいております。

実行(運行実績把握)

そして下流、計画を立てたものを実行ということで、PASCO LocationServiceスという動態管理も提供しており、こちらは1300拠点9500台の車両で現在ご活用頂いております。

本日フォーカスするのは中流にある配車管理システムです。恐らく本日セミナーにご参加いただいた皆様においては、配車システムに関しての知識知見、課題もご存知かと思います。ですので本日は、弊社が配車システムをいかにお客様にうまく運用いただいているかというアプローチについてお話をさせて頂きたいと思っています。

先ほどご案内しました通り450超の拠点に弊社の配車システムを提供しておりますが、やはり中には運用が定着していなかったり、満足する結果が出し切れていないというお客様もいらっしゃいます。その中でよく問題になってくるのは次の4つ。それぞれについて弊社におけるアプローチをご案内いたします。

①精度へのアプローチ

配車担当者からすると納得できない、求める配車結果が出ないという点です。

各社から様々な配車システムTMSを提供されておりますが、昨今の配車システムというものは、一定のブラックボックス化されたアルゴリズムに基づいて自動的に効率的な配車を組むようになっています。最近ですと「AIを使って」なんてキーワードも良く出てきますが、やはりここでは「効率化というものは何か」というのが非常に重要なキーワードです。TMSベンダーが求める効率化とは、積載率が高く・稼働時間が長い、といったキーワードですが、それが経営者様のキーワード、実際の配車担当者が考えるキーワードと一致してこなければ、配車精度というものは高まらないと考えています。パスコでは、配車担当者が考えている配車プロセス、効率的な要素というものを、いかに配車システムのアルゴリズムの中に反映していけるかが非常に重要だと考えています。例えば、毎日効率的な高効率・高回転のコースをつくって毎日同じ委託会社・配送ドライバーに運ばせる。これはドライバーさんが人間である以上、運用は成り立たないでしょう。やはり配車担当者は委託会社さまやドライバーさまに対する人間味とでも言いますか「今日はキツイコースをお願いするが、次回はちょっとゆるいコースをお任せするよ」といった人間関係によって成り立つものだと考えております。ここをどのようにコントロールできるかを我々配車システムベンダーは考えていかなければなりません。

例えばあるお客様で、方面別で協力会社が決まってくる、もしくはコース上で固定化してコースを作らなければいけない場合、まずは荷量の大きい店舗から優先的に割り当てる、骨格ルートと方面を固めて、そのうえで残りの中規模小規模の荷量を割り当て、更に遠方のお客様を割り当てる、という配車調整を行っているとします。パスコでは、この配車プロセス自体を、システム側にバッチ化していきます。そうすることで、配車担当者が考える配車要件に応じた形での配車組みが自動的に行うことができます。

ですので、配車システムを我々がご提供するときには、コンサル部隊がまずお客様の中へ入り、固定ルートはどうなっているのか?協力会社さまへの割り当てはどのように考えるのか?季節変動・曜日変動は?車は全台使って物量で稼働時間を調整するのか?など、細かく要件を聞いてプログラム化して提供します。このようなアプローチで、配車担当者が使いたい、この結果なら使えるといったものに落とし込んでいく作業を非常に重要視しています。

②操作性へのアプローチ

これまでエクセルや基幹システム上など様々な形で配車を行っていたところに、配車システムの決められた操作感で使ってくれと言っても、なかなか業務レスポンスに追いついてこないという操作性の課題です。弊社では縦画面/横画面、何をどのタイミングで表示する、これらをすべてカスタマイズできるように実装しています。利用する配車担当者にまずはヒアリングを行い、どの画面をどのように使っているのか。これを整理した上で配車担当者ごとに画面をつくり、見やすいようにアレンジするというところまでケアをしております。

③配送効率へのアプローチ

物量の増減、また車の過不足がある中でどう配車システムを運用していくかという課題です。こちらは配送効率へのアプローチということですが、これまでは受注ありきの配送、つまり受注したあとにどう割り当てるかというのがTMSのスタンダードな思想だったと感じております。それを車両ありきの配送を実現していこうということで、お客様からのオーダーをまずは車のリソースで曜日指定・時間指定、受けれる/受けれないを、営業員店舗、もしくはECサイトに公開して受注を受ける件数をコントロールしていき、そのうえで配車を回していく。OMS(Oder Management System)のツール機能も実装して提供を開始しました。

④業務改善へのアプローチ

業務効率を改善したいということで、配車システムを導入したものの、システムを導入することによって稼働が増えてしまうという結果を導いているケースです。配車システムは配車を組むだけではなく、組む過程、結果、進捗これらをすべて関係者に共有する公開する通知することで、関係する皆様の稼働削減まで実現していくことが非常に重要なアプローチだと考えています。配車システムを導入することによってオーダーの取り込みが大変になる、データの追加修正が大変になる、配車組みを実行するのに時間がかかるというのでは、せっかくのシステムが無駄になってしまいます。そこは弊社ではAPI連携によってすべてが自動で行われる仕組みを構築しています。配車担当者が出社したタイミングでは仮組みの配車が完成しており、それを確認・微修正して終わるというアプローチを進めております。9月からはモノフル様の「トラック簿」との連携を開始いたしました。

配車システムで確定した配車計画をバース予約に連携すると思いますが、ここでまたアナログが発生してしまったら元も子もないわけですね。よって我々はTMS領域だけではなく周辺システムとのサービスとAPIでつなげることで、業務効率を実現していくというアプローチを強めています。

次世代TMSの取組みについて

最後に我々が取り組む次世代TMSについて取り上げさせていただきます。我々は一気通貫型のTMSの構想というものを掲げ、新システムの構築に歩みを始めました。物流の大きな課題の一つであるラストワンマイルの配送にかかるリードタイムや車両の積載コスト。それらは、その上流にあたる調達から幹線を経由した形で決定していくものであると考えています。よって、我々は、この調達から幹線までのつながりを情報、データ、業務、すべてを一気通貫にデジタルで流してつなげていくことが非常に重要であると考えています。物流には荷主様、3PL事業者様、運送事業者様とさまざまな関係者の方がいらっしゃり、必要な情報、画面、データは異なってきます。それぞれ必要な方に必要なタイミングで情報を提供できる画面、APIを整備していくことで皆様を一つのSCMのプラットフォーム上で管理できるTMSを構築していきたいと考えております。

配車計画においてもラストワンマイルから幹線、中長距離の配送、それに対する計画、指示情報…そういったものを弊社のデータレイクに貯めこんでいき、さらには弊社が得意とする最適アルゴリズム、気象情報、災害情報、通行情報といったコンテンツもデータレイク上で管理していく。そしてこの情報を一元的に地図上で関係者さまに共有、公開をしていくことで、バース予約、労務管理、運賃計算といったものに情報を展開してく構想をもっております。

もちろん配車システムには、指示書の取り込みのアナログ作業、幹線からのクロスドッグ、地場への伝票の連携、さらには人間味のロジック化、エリア、労務管理、運賃計算…様々な課題が求められれていると思っています。こういったものをぜひチャレンジしていきたいと考えています。

実際この取組みに関しまして、国からのご支援もいただきながらこのプロジェクトを進めてまいります。また、この10月から3月末にかけまして、弊社では要件定義を開始し、ユーザー様に広くニーズヒアリングを開始させて頂いております。その情報をもとに開発を行い、2022年の4月リリースに向けて動いております。さらには他社サービス様との連携ということでも随時リリースをかけていくという構想をもっております。弊社の取り組みに賛同していただける方がいらっしゃいましたら、今機能要望やニーズをいただければ、サービスに組み込んでいくこともできるかと思いますので、お気軽にお声がけください。

◆パスコ物流ソリューション
https://www.pasco.co.jp/logistics_solution/