つねにお客様第一を掲げ、自動車産業の発展と共に事業を展開してきたキムラユニティーさまは、お客様との取引の中で長年培ってきた知見やノウハウを強みに、自動車社会になくてはならない企業として成長を遂げてきました。
CASE、MaaSなど、100年に一度の大変革期にある自動車業界と共に、同社も進化すべくさまざまな取り組みを実践しています。その中の一つが、他社との協業です。今回、スマートドライブとの連携を決め、新たなプロジェクトを始動させようとしていますが、この連携によってどのような“新たな価値”を見出しているのでしょうか。お客様から「これが欲しかった!」と言われるようなサービスを提供したい。後編では、未来の自動車業界に光を照らす、希望に満ちたインタビューをお届けします。
「ここしかない!」データ活用について向き合いながら会話できたのはスマートドライブだけだった
さまざまな企業とつながっていきたいとのことですが、スマートドライブとの協業において率直に感じたことがあれば教えていただけますか。
段:今までの企業は協業と言っても、「私たちはこんな機器を開発しており、このようなコンテンツとこのようなデータを持っています。ですから、あとは御社の方でうまくご活用ください」という姿勢が多く、集まったデータをどのように活用すべきかについては、私たち自身で考えなくてはなりませんでした。しかし、私たちはデータの分析や活用に関して知見が少なく、具体的に何をどうすれば良いのかわからない。宙ぶらりんな状態だったのです。そんな中、スマートドライブさんはデータの活用方法についてさまざまな角度から並走して考えてくれましたし、そこが他社と大きく異なるところだと感じました。
齊藤:テレマティクスサービスを利用しているお客様には、有効な活用方法がわからずに困っている方が多くいらっしゃるんです。私たちはBPOをサービスとして提供していますので、お客様から運用やデータの扱い方について求められる機会が多くあったのですが、データのプロフェッショナルではないため、どのように解決するのがベストかと、しょっちゅう頭を悩ませていました。スマートドライブさんはテレマティクスで取れたデータの活用方法について、的確かつ詳細に答えを示し、サポートしてくださった。その瞬間、「もう、ここしかない!」って。
現在はスマートドライブとともにプロジェクトを進めていますが、現場の反応はいかがでしょうか?
齊藤:過去にも別のパートナーさんとのプロジェクトを紹介することもあったのですが、特段声が上がることはなかったんです。しかし、スマートドライブさんについて紹介した後は営業から直接電話で、「今まで聞いてきた提案の中で1番衝撃を受けた」と大反響。これは本当の話です!
どの部分に衝撃を受けたのか尋ねたら、「分析されたレポートを見て何をするべきなのかを目で見てすぐに理解できたし、具体的な内容でわかりやすい。これならお客様にも自信を持って提案できるし、ぜひ進めてもらいたい」と。
ありがとうございます、そう言っていただけると非常に嬉しいです。
段:分かりやすさって本当に重要なんです。データそのもののだけでなく、データの見せ方も一目でわかるように表現されているのが良いですよね。お客様にはこのデータが具体的に何を示しているのかを理解いただくことが重要ですから。
お客様への価値を最大化させるにはデータで有効性を可視化すること
今後もプロジェクトは続いていきますが、その中でスマートドライブに期待しているところなどあればお聞かせください。
江尻:これまでのプロジェクトは車両の稼働率の可視化に注力してきましたが、今後は事故の予防や安全運転教育に注力していきたいと思っています。現在は弊社のDSS(ドライバーズ・セーフティー・サービス)チームが人の手で根気強くお客様をサポートしていますが、今後はIoTやデータを活用してより有効なサービスを提案したいですね。
段:セミナーの開催やカウンセリングの実施など、交通事故の防災活動の内容は、ここ50年くらい変わっていません。しかし、あらゆるデータを組み合わせていけば、お客様の事故を0にするのも夢ではないと思うんです。世間では自動運転がホットな話題ですが、全ての車が自動運転に切り替わるのはまだ先の事でしょう。まだまだ人の手で運転する世の中ですから、安全・安心が私たちにとって最大のテーマです。スマートドライブさんとでしたら、お客様がワクワクできるような提案を一緒にできると思っています。お客様から「これが欲しかったんだ!」と言ってもらえるような。
今までの安全運転研修は、人を集めるのも時間を確保するのも大変で、お客様の負担も大きいものでした。ただ、負担に感じさせている根本的な原因は、「研修によって確実に事故が削減できる」という説得力が足りないからだったと思うんです。今後はデータの活用で、お客様にも積極的に取り組んでいただけるようになることを期待していますし、今後のプロジェクトでも安全運転をテーマにさらに深堀りしていきたいと思っています。
齊藤:先ほど弊社の営業が衝撃を受けたという話をしましたが、この衝撃を社内だけでなく、市場やお客様にも体験いただきたいですよね。
段:私たちも車両の管理だけでなく、もっと大きな視点で価値を提供できる企業になりたい。今までは車とドライバーが1対1の関係でしたが、今はカーシェアやライドシェアなどサービスの幅も広がり、車と人との付き合い方も変わってきました。ですから、車にだけフォーカスするのではなくて、労務面でもサポートしていきたいですね。
江尻:私たちのシステムを客観的に見たとき、もう少し広い視野で総務のサポートができるんじゃないかと思うことがありまして。少し前に、インターネットで公開されているバックオフィス系のカオスマップを目にしたのですが、人事や労務管理のカテゴリーがあるのに、車両管理のカテゴリーが無い。カオスマップに車両管理というカテゴリーができるように、認知拡大の活動も一緒に進めていきましょう。
齊藤:サービスを構築して一緒に販売するタイミングになったら、共に市場へアプローチをしつつ、マーケティングやポジショニングも確立していきたいですね。
江尻:横軸で考えると車両管理は労務管理にもつながりますから、見せ方も工夫しなくてはなりませんね。
段:その点については、私たちが労務管理のシステムを作るのではなく、労務管理のプロフェッショナルとつながるイメージで考えています。車両管理は単純な車の管理ではなく、車を使った営業活動や勤務管理など、多くの分野に波及するもの。ですから、お客様に対して、車両管理システム活用による可能性をもっと強く訴えていく必要があるのです。
江尻:車両管理業務の担当者は、重要な業務を任されているにも関わらずほとんど注目されることがありません。ですから、車両管理業務の担当者が離職された時に、その仕事の大変さや重要さに気がつき、手に負えなくてアウトソーシングをする…という流れが多いように感じます。
齊藤:労力もかかりますが、事故のリスクが高まることを考えると、管理を放棄するわけにはいきません。こうした状況を変えるためにも、車両管理の認知度上げて、重要性を周知させていきたいのです。アウトソーシングすればなんとかなると思われがちですが、実際はそうじゃなかったりしますし。
段:10年前であれば、それが通用していました。今でも細かいことさえ気にならなければアウトソーシングで十分ですが、現代はデータの活用で解決できることが数え切れないほどありますから、私たちもそこに踏み込んでアピールしていかねばなりません。コストカット、業務の効率化、事故防止に安全運転対策、お客様に提供できる価値は多様にありますから。
すべてのモノ・コトはつながっていく〜ヒト中心でサービスを考えることの重要性
車両管理の価値を高めた先にはどのような価値が提供できるでしょうか。
齊藤:車両管理業務は総務部が対応していることがほとんどですが、担当者は他にも様々な業務を担っていますので、あくまで業務の一部という認識なんです。将来的には総務の方々の様々な業務ともつながり、「キムラユニティーに相談すれば、総務の課題が全て解決できる」と思われるようになりたいですね。一社単独ではなく、パートナー企業さんと手を取り合うことで、幅広く課題解決のお手伝いができるはず。
段:お客様からは携帯電話の管理業務も任せたいと要望をいただきますが、私たちとしては車と携帯電話は異なるものだと考えていますから、今のところはお断りせざるを得なくて。しかし、お客様からすると車も携帯も同じ。つまり、こうした小さなきっかけからも気づきがあり、ビジネスチャンスにつながる可能性があると思っていますので、今後はそうした要望をパートナー企業とともに柔軟に叶え、お客様をもっと幸せにしていきたいです。
そこで重要なのが、車を軸に考えるか、人を軸に考えるか、何を軸に考えるかです。人を軸に考えれば車も携帯電話もつながっていきますから、私たちの考えも車中心から人中心の考えにシフトしていくべきだと考えています。