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前編:「EV社会がモビリティ業界に起こす変化とは?」セミナーレポート

前編:「EV社会がモビリティ業界に起こす変化とは?」セミナーレポート

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細川 啓介
電力本部 国内電力プロジェクト部
丸紅株式会社

本記事は2020年11月5日に開催されたセミナー「EV社会がモビリティ業界に起こす変化とは?」で、丸紅株式会社 細川様へ登壇いただいた「電力×モビリティの観点から考えるこれからの業務車両管理 」のセッションレポートです。

はじめに

世界各国でガソリン車の販売禁止が進む一方、EVの普及には様々なハードルや課題が山積しています。 本セミナーでは、丸紅とスマートドライブが取り組むEV普及に向けた協業内容や、EV Fleet Managementシステム、最新テクノロジーをご紹介。EV車両をすでに導入頂いている企業様や、これから検討を開始する企業様は、ぜひともご参照ください。

電力×モビリティの観点から考えるこれからの業務車両管理

丸紅株式会社の細川啓介と申します。本日は、移動手段としての価値だけに留まらないEVの価値とその活用方法について、私たちがどのように考えて取り組んでいるのかをお話させていただきます。

EVの普及はいま全世界で期待をされておりますが、広く普及するためには何が必要なのか。丸紅では「EV=電気を用いて走る自動車」であることに注目し、電気の使い方にまで踏み込むことで、EVの普及に貢献できるのではないかと考えております。

本セミナーでは、始めに丸紅株式会社についてご紹介をさせていただき、そのうえでEV関連の取組みについて改めてご紹介いたします。

丸紅の事業

丸紅は総合商社として、食料、エネルギー、航空機、不動産など、世界中で様々な事業を展開しております。その中で私が所属しております電力本部では、全世界約12,000メガワットという、大手電力会社のグループではない独立系の発電事業者として最大級の発電容量を保有するなど、電力事業に特に力を入れて進めております。

丸紅グループのコーポレートスローガンはGlobal crossvalue platformと題し、社内のリソースと社外の皆様の知見を縦横無尽に掛け合わせていくことで、新しい価値を生み出し、社会課題の解決に貢献することを目指しております。昨今は環境問題への取組みも非常に重視しており、世界的な環境イニシアチブであるSDGsにも積極的に取り組んでいます。世界中で幅広い事業を手掛けている経験を活かして、皆さまと幅広く連携しながら、様々な社会課題や環境問題の解決に貢献していきたいと考えています。

それでは次に、本日のテーマでもあります国内の電力分野での取組みについてご紹介させていただきます。

丸紅は昔から電力事業を手掛けておりますが、現在日本全体で24か所の発電所を運営しております。また、丸紅新電力という電力の小売りを行っている会社を通じ、全国の法人やご家庭の皆さまに対して電気をお届けするという業務も手掛けています。昨今は先ほど申し上げましたとおり環境への取組みを重視しており、再生可能エネルギー関連の取組みを強化しており、取り扱い比率を増やしていく方針です。国内外で培った豊富なノウハウを活かして皆様に安心してお使いいただける電力の供給を実現していきたいと考えています。さらに最近では新しい取組みとして、従来代理店を通じた訪問販売が主体でありました家庭用蓄電池に関しましても、EC・Eコマースを通じて適切な価格で提供するといった事業を手掛けております。

また、従来の「発電所で電気をつくって、お届けする」という事業から一歩進み、電気の効率的な使い方まで踏み込んでご提案するという取組みに力を入れております。本日お話させていただくEV向けの取組みもその一環であると考えています。

EVの普及目標

それではEV向けの電力事業についてお話させていただきます。まずEVの普及台数についてですが、経済産業省の資料によると、ガソリンやディーゼル車を含む自動車全体に占めるEVの割合は、2030年までに20~30%まで増えることが見込まれています。そのためEVは将来の電力事業としても大きな一部を占めることになると考えており、我々も大変注目している領域です。さらに単純に電力の需要先に留まらないEVの価値として、従来から注目されていたEVの「モビリティとしての価値」「環境面での価値」というものに加え、「エネルギーインフラとしての価値」が注目され始めております。

こちらは例えば、EVに搭載された蓄電池に貯めた電気を緊急時の非常用電源として活用するだけでなく、平時においても停車しているEVを電力の需給のバランスの調整に使う、といった応用が考えられています。

このように、我々はEVの持つ「エネルギーインフラとしての価値」にも注目してEV向けの取組みにも力を入れているというわけです。

従来の商社が持つ「必要なモノとサービスの提供」といった機能と、電力事業での知見を活かしてEVをエネルギーインフラとして効率的にかつ環境にやさしく使うためのサポートを提供することで、EVの導入と活用に貢献したいと考えております。

それではここから、スマートドライブ社との協業に至りました経緯とその狙いについてご紹介させて頂きます。

EVの導入・活用のサポートに向けた取組み

丸紅では、スマートドライブ社との協業をスタートする前から、EVと電力に関わる技術実証を進め、2019年には長野県伊那市様が保有するEVを用いた技術実証をさせて頂きました。これらの技術実証を経て、さらにビジネスとしての事業実証を進めていくにあたり、そのパートナーとしてスマートドライブ社と協業することになりました。

先に述べたとおり、EVには「モビリティとしての価値」「環境面での価値」「エネルギーインフラとしての価値」があります。

丸紅は「エネルギーインフラとしての価値」、「環境面での価値」を最大化すべく検討を進めて参りました。それらを、EVの持つ「モビリティとしての価値」と結び付けてお客様に提案するためには、どうしても丸紅一社での力では足りないところがございます。そこで、モビリティの管理システムに強みを持つスマートドライブ社とお話をさせていただき、目指す方向性が一致したことから、2020年8月に両社でモビリティとエネルギーを掛け合せたEVの普及促進に向けて協業することになりました。今後スマートドライブと丸紅でEVの導入と効率的な利用を促進するとともに、事業所向けの再生可能エネルギーと組み合わせた提案をして、低炭素社会の実現に向けた貢献を加速させていただきたい。そのように考えております。

それでは次に、我々が検討しております具体的なサービスについてご紹介させていただきます。

「おまかせEV for Biz」

こちらは業務用の乗用車両向けに自社開発のAIを用いて、EV導入効果の算定及び配車と充電のタイミングを最適化する、というサービスです。

EVの導入促進や効率的な利用をサポートするという事業を推進するにあたり、業務用の乗用車両に注目しました。業務用乗用車両を効率的に運用し、コスト削減と生産性を高めるということは、企業様にとって重要な課題であると認識しております。また、ヒアリングの結果、環境意識が高まっているということを背景に、EVの導入を検討される企業様も非常に多いということが分かってきました。これは我々が目指すサービスとの親和性も非常に高いと考えております。

そのような状況を踏まえて、企業様にヒアリングさせて頂いたところ、次のようなお悩みをお持ちであることが分かってきました。

まずはEVの導入時について。一つはEVの新規購入、追加導入を検討したいと仰る事業者様は多くいらっしゃるものの、どうしても導入にかかるコスト、つまりEVの車両代金やその周辺設備にかかる費用がどれくらいかかるのか分からないというもの。どうしてもガソリン車よりEV車は高価格ですし、何台導入したらいいのか分からない、というようなお悩みです。もう一つは、EV導入のメリットである燃料やCO2の削減効果が、結果としてどれくらいあるのかといった部分が定量的に分からないため、なかなか導入に踏み切れないといったお悩みです。こういった悩みをお持ちの方が大変多くいらっしゃいます。

次に実際にEVを導入し運用されている企業様でのお悩みについて。それは、EVを導入したものの、道中で電欠してしまうことが不安で、なかなか長距離利用ができない、1日1回しか予約を入れられない、といったものです。次の利用時間までの充電が十分なのかが不安なため、なかなか1日1回使ったら夜充電する、という運用をされている方が多く、せっかく導入しても有効活用ができず宝の持ち腐れになっているという例がございます。

これらの悩みに対して、我々は、EV導入時はEVの導入効果を算定するサービス、EVの運用時には配車と充電のタイミングを最適化するサービスをご提案していきます。

我々のサービスの特徴は、EVの導入時、運用時それぞれの課題に答えるにあたり自社開発のAIを用いて、お客様の利用状況を考慮した導入効果算定と配車・充電の最適化を実現するという点です。

これは、カタログスペックでガソリン車とEV社を比べて平均的にどれくらいのコストメリットがあるかということを算出するのではなく、実際の利用状況を反映したうえで効率的な運用を提案させていただくというものです。お客様の状況に応じてEV車での効果は大きく変わってくるということが、我々のこれまでの実験でも分かっております。

EVの導入効果算定サービス

お客様の現状の車両利用のデータ (例えば何台ガソリン車をお持ちで一日にどれくらい走っていて、どこに行っているのかというデータ) をいただき、我々のシステムに入れて分析をすることで、ガソリン車をEV車に置き換えた場合にどの程度のコストやCO2の削減ができるのか算出し、最適なEV車や充電器の台数を、提案することが可能になります。

つまり、各種ニーズを考慮したうえで、利便性を維持した上での効果的なEV車の最適台数は何台なのか、我々の方でシミュレーションを用いて計算させていただく。そういったサービスとなっております。

配車・充電タイミング最適化サービス

こちらは、利用者である社員の皆様が車両の利用予約を入れていただくことで、それをシステムの方で社員様が、ちゃんと使いたい時間に車を使えるよう、利便性を維持しつつ、EVを優先して利用するなどエネルギー効率が最適になるように、配車計画を提示するサービスです。電欠になって走れないというのでは元も子も無くなってしまいますので、必要な充電タイミングを考慮したうえで、どのようなスケジュールであれば最も効率的に使えるタイミングを最適化するサービスです。このサービスを利用することで利用者様及び管理者様は、電欠を気にすることなくEVを最も効率的に、何も考えずに使うことができるという利点がございます。

EVの配車の決定にあたっては、単純にEVの消費電力量と電池残量だけを考えるのではなく、事業者全体の消費電力量を合わせて計算するプログラムになっています。こうすることで事業所を含めた電力の総量をピークカットし、電力量を抑えるために、あえて充電をしないという判断をしています。

以上が、弊社の電力×モビリティに関する取り組みになります。

丸紅は、今後もスマートドライブ様と共同で、EV の導入促進・効率的な利用を推進すると共に、低炭素社会の実現に向けた貢献を目指してまいります。 

本日はご清聴頂き、誠にありがとうございました。