バナー
10年後、20年後に向けて今から動き出すべきだ —— ヤマヒロ株式会社が見たガソリンスタンドの現在地と未来のあるべき姿 (前編)

10年後、20年後に向けて今から動き出すべきだ —— ヤマヒロ株式会社が見たガソリンスタンドの現在地と未来のあるべき姿 (前編)

地球規模での気候変動対策や省エネの観点で進む電気自動車の普及促進、所有からシェアへと変換する消費者の価値観など、モビリティ業界は今、変化を余儀無くされています。
そんな中、ガソリンスタンドを中心にさまざまなカーサービスを提供しているヤマヒロ株式会社の代表取締役社長・山口寛士氏は「来るべき時に備えて今から危機感を感じ、チャレンジを繰り返すべきだ」と唱えます。今回は前後編にて、ガソリンスタンドの現状とこれから、そしてヤマヒロ様が未来に向けて実践していることをお話いただきました。

地球規模での気候変動対策や省エネの観点で進む電気自動車の普及促進、所有からシェアへと変換する消費者の価値観など、モビリティ業界は今、変化を余儀無くされています。

そんな中、ガソリンスタンドを中心にさまざまなカーサービスを提供しているヤマヒロ株式会社の代表取締役社長・山口寛士氏は「来るべき時に備えて今から危機感を感じ、チャレンジを繰り返すべきだ」と唱えます。今回は前後編にて、ガソリンスタンドの現状とこれから、そしてヤマヒロが未来に向けて実践していることをお話いただきました。

首都圏を中心にクルマにまつわるサービスを展開するヤマヒロ

まずは御社の事業内容をご紹介いただけますか。

ヤマヒロ株式会社の前身は山廣商店という会社で、そこを起点に数えると創立から70年ほどが経ちます。私は同社、3代目の社長を務めています。2代目の時にガソリンスタンド事業と不動産事業と事業を拡大し、社員を多く抱えるガソリンスタンド事業の損益を明確化するためにガソリンスタンド事業を切り離してヤマヒロ株式会社を作りました。ヤマヒロ株式会社としては2021年で32期目を迎えます。私は、2013年に社長に就任しました。

皆様ご存知のように、ガソリンスタンドではガソリン以外にも洗車や車検、自動車の整備、車の販売・レンタカーなどを提供しています。以前は、各店舗においてそれらのサービス全てを扱っていました。私が社長に就任し、お店の設備環境と立地を考慮した形でサービスを絞りました。その方がお客様の認知関心を高めやすいこと、そしてプロのスタッフを育成することができると考えたからです。サービスを整理することで、取組直後は大きく減益しましたが、「狭く深く」各サービスについて取り組むことで、今では成長していると感じます。

足元では、ガソリン販売は東京都で2番手、車検はディーラーを除く整備事業者としては2番手、コーティングはガソリンスタンド業では東京都で1位、レンタカー事業もニコニコレンタカー内で全国1位を獲得しています。東京経済圏における自動車を中心として小売サービス業を営むことこそが、ヤマヒロのアイデンティティでありミッションです。

ガソリンスタンド事業者は大変革期のモビリティ業界でどう生き残っていくか

モビリティ業界は現在、100年に1度の変革期だと言われていますが、この大きな変化の波をどのように生き残り、どのように変容していこうとお考えですか。

まず、自動車のハード面から考えていきましょう。昨今では、CO2を多く排出するため、ガソリンが悪だと見なされる風潮があります。そのため、EVシフトはますます進んでいくと実感していますが、水素自動車あまり普及しないと考えています。その理由はいくつかありますが、1つが安全性です。水素はその特徴から爆発の懸念があるのでより頑丈な筐体でなければならず、その分開発製造コストがかかります。それに、水素ステーションの設置も安くはありませんから、安価に提供できるまでの期間を考えると、EVに勝つのは難しいなと予想しています。テロの危険性があるヨーロッパなどでは、水素燃料車が並んで駐車していた場合、1台でも爆発すると、ゲームのように連鎖して燃え移る可能性がある。世界全体で考えると、そうした危険性があるので普及拡大は見込めない気がします。

かつて、ビデオの規格でVHSとベータが争っていましたが、EVと水素、そしてガソリンと、エネルギーの種類が多いことは経済合理性も低く、社会インフラの維持も難しいのではないでしょうか。

EV化が進むという前提にした場合、ガソリン車とのバランスはどのようになっていくのか、図を使って説明しましょう。下図は横軸が時間で、縦軸が車の販売台数を示しています。

2019年(※ここでは2020年も同様と仮定)に日本でEVが売れた割合はおよそ0.6%、つまり、2010年から2020年に販売された車はほぼガソリン車であることがお分かりいただけるでしょう。私たちは年間1万台近くの車検を対応しているので把握しているのですが、車検に出される車両の55%は購入から10年以上が経過した車両です。

2030年には、東京都の政策推進の影響があり100%EV車しか売れないと仮定します。そうすると、2030年の車検時にはEVが25%で、ガソリン車75%という状況になる。この状況であれば、まだガソリンスタンドの経営は続けていけると思います。

2030年以降はEVしか販売されないと仮定すると、さらに10年が経過した2040年には、EVが75%を占め、ガソリン車の割合は25%に。ここまでシェアが下がると、ガソリンスタンドを事業の柱としている私たちは立ちいかなくなります。従って、今から既存事業の終焉が2040年あたりに訪れると認識して経営のかじ取りをとっていく必要があると考えています。

ガソリンスタンドを経営する私たちがこの20年の間で変革していかなければならないことは確かです。20年を短いとみるか、まだ先だと思うかは人それぞれですが、今のうちからチャレンジしていくことが重要だと考えています。それこそ、スマートドライブさんとロイヤリティマーケティングさんとの取り組みは、このチャレンジ精神から生まれていると思います。

もう1つ言えることは、東京というマーケットにおいて、ガソリン・車検・コーティング・レンタカーなど車に関するサービスでシェアを持つヤマヒロがどのような変革ができるのか、その姿勢を示していくべき側だということです。未来のモビリティサービスにどのような風を吹き込むことができるのかを考え、チャレンジを続けるべきですし、そこでヤマヒロの強みが活かせる何かに出会えたら、一気にアクセル全開で取り組んでこうと考えています。

10年後、20年後に向けて今から動き始めよ

ガソリンと比べてEVが不便に感じるのは充電時間です。ガソリンであれば、すぐにエネルギーを補充できますが、電気だと一定の時間が必要になります。この課題を解決するには、バッテリーを始め、技術の進化を待たなければならないのでしょうか。

ガソリンスタンドからEVステーションに変えるのは難しいですし、充電に時間がかかることを考えると現時点ではEVの充電ステーションをガソリンスタンドで展開することは考えていません。バッテリーが進化すればどこかのタイミングで関わることもあるでしょうが、それは技術が進歩・発展してからのこと。私たちとしても、そのタイミングからでないと手をだすこともできません。今は駐車場やレストランに充電スポットを拡充させていくほうがニーズが高いと思います。

今後、ガソリンスタンドはどのように変化していくでしょうか。

なんとも言えませんが、元売企業含め、危機感を募らせていることは間違いありません。一方で、ガソリンスタンドという立地に恵まれ、そして有人のスポットを生かすサービスを他の形で生み出すことは可能だと思います。ガソリンスタンドの拠点は今後も減少していきますが、その時間の中で、地域課題の解決にあたるサービスや利便性を高めるサービスを取り込むといった、変化に適応しながら、生き残っていくのではないでしょうか。

DOWNLOAD

セッション資料イメージ