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EV普及を加速するために。東京ガスが掲げた3つの挑戦と豊かな生活実現に向けた未来図(後編)

EV普及を加速するために。東京ガスが掲げた3つの挑戦と豊かな生活実現に向けた未来図(後編)

2021年2月、モビリティデータの取得・分析・解析に強みを持つスマートドライブとエネルギーマネジメントに強みを持つ東京ガスさまが連携し、新たなサービスの開発に取り組むことを発表しました。
後編では、スマートドライブとのコラボレーション、そして東京ガスさまが共創によって実現したいエネルギー社会の未来についてお話を伺いました。

スマートドライブとの共創で人々のより快適な生活を実現したい

インタビューの後編ではEVソリューションについてさらに詳しくお伺いしたいと思います。まずはスマートドライブとの取り組みついて教えてください。

中澤:前編にてお話にありましたが、東京ガスとしては法人のお客さまのEV化に際し、EV導入支援から充電インフラの課題解決、そして導入後のエネルギーマネジメントまで幅広くご支援させて頂きたいと考えており、スマートドライブさんと共同でEV導入時や導入後のサービス構築を検討しています。

EV導入時や導入後のサービスにおいて、スマートドライブはどのような役割を担っているのでしょう?

中澤:スマートドライブさんが提供しているIoTデバイスとデータプラットフォームを活用し、お客さまの車両の動体データに基づいてEV化によるコストメリットや最適なEV化台数、CO2削減効果、BCP(事業継続計画)価値、電欠リスクの有無を定量的に提示できるツールを開発しました。それを利用し、EV導入時の導入判断材料の提供や導入後の運用実績データの可視化など、共に総合的にお客さまをサポートしていきたいと考えております。

また、弊社内でもスマートドライブ社のIoTデバイスを約30台の社用車に取り付け実証実験を行っております。そこで得られたデータを用いてツールを検証し、利便性が向上する仕組みの構築に取り組んでいます。

瀧本:法人企業さまのEV化は「コスト削減が本当に実現できるのか」「車両台数は適正なのか」「CO2削減にどの程度寄与するのか」がスタート地点になりますので、スマートドライブ社のデバイスを最大限に活かしてお客さまの正確な移動データを把握することが非常に重要となってくるのです。

スマートドライブと本プロジェクトを始めることになったきっかけについて教えていただけますか。

多久:法人のお客さまからEVに関するお話を伺うと、そもそもEV導入による経済的なメリットも不明確だし、CO2がどの程度削減できるのか、どういう充電設備が必要かなど、導入の意思決定をする前段階の時点で、多くの悩みを抱えていることが分かりました。そこで、EV充電に関するサービスをご提供する前段の段階から丁寧にサポートをしていく必要があると考えました。そのようなサポートを行うソリューションを有する企業を探している最中でスマートドライブさんに出会ったのです。

「EVを導入する前段階からお客さまの課題を解決する」。その言葉にはエネルギーの供給から活用方法までサポートする御社の真摯な姿勢が表明されているように感じました。

スマートドライブとの取り組みはまだ始まったばかりですが、これからどんなことを共に実現していきたいとお考えですか。

多久:弊社の強みのあるエネルギー使用量をはじめとする自宅や事業所内のデータと、移動データを組み合わせることによる、新たなサービスを産み出していきたいと考えています。

東京ガスは都市ガス事業を長く行ってきたため、所謂ラストワンマイル領域と重なる、人口密度の高い地域にお客さまが多くいらっしゃいます。現在、弊社はイエナカ(家の中)のデータを用いて新しいサービスを産み出そうとしていますが、今後はイエソト(家の外)の移動データを組み合わせたより多面的なサービスを産み出していきたいと考えています。

消費者視点でいうと、家の中と外のデータを取られるというのはプライバシーがなくなり、行動監視されているような感じがするためネガティブな印象を受けます。たとえば「自宅のドアの開閉データを提供するので、窃盗などの防犯対策を確実に行う」など、データを提供する以上のメリットがなければ難しいのではないでしょうか。

多久:仰る通り、お客さまに魅力あるサービスをご提供できるかが重要だと考えています。例えば、家の中に温度センサーがあることで部屋が最適な温度を保てるようになりますが、移動データと組み合わせることで、在不在の判断の高度化や、自宅に到着する前にエアコンが作動して帰宅する時には快適な温度になるような制御も可能になると思います。これは一例ですが、私たちとしては、お客さまがより快適に、より豊かな生活が送れるよう、様々なデータを活用していきたいと考えているのです。

非常にわかりやすい例えですね。これから花粉症の季節ですが、最近では家の外からスマホで操作し、帰宅後には室内をクリーンな状態に保ってくれる空気清浄機もあります。東京ガスさまは、IoTによって人々の生活がさらに豊かになるのはいつ頃だと思われますか。

多久:今でもかなりのことが実現できますし、数年以内には、より多様なIoTがさまざまな家庭で使われるようになると考えています。

天羽:普及するには、消費者が購入しやすい価格になることも重要なポイントだと考えています。ただ、デジタルが進化する勢いは著しいので、思っている以上に早いタイミングで家の設備がインターネットに接続され、快適な生活が訪れるようになるかもしれません。

EVの普及により、電気は本当に不足するのか

昨年末、政府が2030年に向けたガソリン車販売禁止を打ち出しました。一方で、日本自動車工業会が全面EV移行に対して懸念を示しているのが深刻な電気不足です。最近は寒波による冷え込みで電力需要が急増したこと、日本国内の発電の多くを賄っている火力発電の燃料・LNG(液化天然ガス)の不足が電力の逼迫を招いたと言われています。今後、EV普及に伴い電力の使用が増えれば、御社はガスだけでなく電気を安定供給するインフラとしての立場も求められます。

天羽:着目すべきはEVのエネルギー源です。弊社は「CO2ネット・ゼロ」を掲げていますが、EVで使用される電気がCO2を排出する火力発電であれば脱炭素にはならないため、再生可能エネルギーの活用に焦点を当てなければなりません。電化もそうですし、長期的に考えると水素を活用する可能性もあるため、幅広い視点で取り組んでいく必要があるのです。

電化に向けて大事なのが、複合的にエネルギーを利用すること。1つのエネルギーに頼ってばかりいると、電気料金の高騰によってお客さまの生活に支障が出てしまったり、地震や豪雨などの災害時に復旧作業が完了するまで供給できなかったり、“もしも”の際に対応ができなくなる。ですから、東京ガスでは再生可能エネルギーなど分散型エネルギーシステムやスマートシティの拡大を推進しているのです。

多久:「電気が足りない」には、2つの論点があります。

1つはkWh(キロワットアワー)という、ボリュームとしての不足。もう一は、みんなが一斉に電気を消費することでピーク時に発電所が対応しきれなくなるkW(キロワット)の話。

特に、2つ目のピーク対応(kWの話)が最初に顕在化してくる課題だと考えており、ここについては、私たちがエネルギー事業者として、エネルギーマネジメントを強化し、貢献していきたいと考えています。

瀧本:電力供給において、EVは制御可能なリソースだと考えています。例えば、夜間止まっている車の場合、充電のタイミングは調整の余地が大きいので。充電時間を少しずつズラしていけば、ピークを乗り越えることができるはずです。

多久:そこに移動データを組み合わせることで、例えば、Aさんは毎朝9時前後に出発するから、X時から何時間ほど充電しておけば良いとわかるようになる。このように、スマートドライブとの連携でより高度なエネルギーマネジメントができると期待しています。

前編で、家の中のIoT化が進み、パーソナライズされた快適な住環境が自動的に用意できるという話がありましたよね。そのうち、電気料金もパーソナライズされる未来がやってくるんじゃないでしょうか。時間帯によってEVの充電にかかる料金が変動したり、ピークを避けた時間帯だと安くなったり。

天羽:時間帯だけでなく、EVは電気プランA、空調は電気プランB、冷蔵庫は電気プランCなど、将来的には用途によって料金が細分化されていくことも可能性としてあるかもしれませんね。

太陽光や風力は気候によって発電力が変動しますので、そこに合わせてエネルギーを利用していただければ、お客さまにも経済的なメリットを享受できるでしょう。多くの発電ができるタイミングで電気を利用されたらお安くなるとか、発電できない時期は値段が高くなるということも考えられますし。お客さまもお得になり、社会的にも良い仕組みを作りたいですね。

EVシフトの基盤は共創によって作られる

御社は今後、電動化・EVシフトの加速の一翼を担う企業の一つになりますが、競合企業や共にEVシフトを普及させるプレイヤーに、どのような企業をお考えでしょう。EVシフトに関してはスタートアップと組むのも1つの手段ですし、大手企業同士で連携したり、競合企業でも市場を盛り上げるために協力しあったり、さまざまな形があると思います。

多久:世の中に向けた新しいインフラの整備は東京ガス一社のみで成し遂げることはできませんから、大手企業さまやスタートアップ企業さまとともにどんどん共創してお客さまにとって最適なサービスを提供していきたいと考えています。

天羽:どのような業種、業態であっても競合になり得ますし、逆に連携できるパートナーにもなり得ます。さまざまなコンソーシアムに参加して、これから座組みなどを整えていきたいですね。

瀧本:これまでメーカーとユーザーが別々の立場だったのものが、今後はメーカーとユーザーが一緒に価値を生み出していく時代へ突入します。東京ガスはエネルギーを供給する立場ですが、OEMメーカーさんと会話して供給される側のことも理解を深め、これまでは想像もしていなかった企業とのコラボレーションで新たな価値を次々に生み出していきたいですね。

中澤:お客さまにより良いサービスをご提供するためには、技術・ノウハウの蓄積が重要になると考えています。その観点から自社内でのEV関連のエネルギーマネジメント実証試験の実施に加えて、海外企業への出資による高度なEV充電マネジメント事業に関する技術・ノウハウの取得も実施しています。「自社単独で全てを担う」とは考えず、様々なパートナーと連携し、共に価値を創出していきたいです。

天羽:企業のみならず、社会や人々へと粒度を落としていくと、自治体との取り組みも非常に重要になっていきます。互いに手を取り合い、うまく連携しながら取り組んでいければ。

中澤:先ほど申し上げたツールの開発やデータの分析のような取り組みの他にも、スマートドライブさんとはセミナーなどのイベントの開催も検討しています。こうしたイベントや今回の取組に関するニュースレター、本インタビュー記事などを通じて、弊社のEVソリューションにご興味を持っていただき、サービスをご利用いただくことで共により良いサービスを作り上げていくお客さまや、一緒にプロジェクトに関わっていただけるパートナーに出会えると嬉しいですね。是非、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

■法人向けEVソリューションプロジェクトお問い合わせ先
Mail: ev_fleet@tokyo-gas.co.jp

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