前回のインタビューに引き続き、タイのマーケットやイベントで感じたことなどをご紹介いたします。
STARTUP THAILANDに出展して感じたこと
坂口:
今回、スタートアップタイランドに参加して、気になった会社やブースにいらしたお客様と話したことや感じたことを教えてください。
小林:
全体的にブースを見たときに、エネルギー系のスタートアップは少なかったと思います。各国から来ているなかで、特に我々のようなハードウェアを作っている企業は無かったんじゃないかと思います。そういうところで、チャレナジーは世界で見ても、スタートアップとしてニッチな部分を攻めているのではないかと、感じました。
竹田:
私自身がタイのスタートアップ企業のブースを見ていて、ヘルスケア系のスタートアップで面白い企業を見つけました。やっていることはシンプルで薬局向けに電子処方箋の発行、薬代をeマネーでの決済サービスです。今まで紙で扱っていたデータを電子化して、サービスを一気に広げてから、データの商流を抑える。そのデータを活用し、製薬企業のセールス/マーケティングや患者の予防医療に繋げるといったビジネスは今から沢山でてくると思います。
日本の場合、ヘルスケア系のデータは特定の企業がデータを商流を抑えてしまっていて、なかなか入り込めないですが、タイやフィリピン、インドネシアではまだまだ、この分野は狙えると感じましたね。タイでデータを持っている人たちと協業したいです。
伊野:
SPEEDAのブースに来ていただいた、香港で財閥系のファミリービジネスのビジネス開発を手助けしている投資家の方が印象的でした。その方は個人的なつながりで、タイの財閥系企業に対して情報提供しているので、SPEEDAに興味があるとおっしゃっていました。財閥系はすごいファミリー繋がりのネットワークがあるようで、大手のコンサル会社様との付き合いはあるものの、ファミリーを通して、個人で財閥系企業をサポートしている人がいると驚きました。
坂口:
個人コンサルタントが、巨大企業グループをサポートするみたいな感じですか?
伊野:
まさにそういう感じなのですが、資金力もあるので、個人ですが法人向けのデータベースサービスを買えちゃうくらいの資金があって、権限もある方ですね。ブルームバーグの金額と弊社の金額を比較して、「あっ、安いのね」という感想を述べられてました。
坂口:
それはタイの特徴かもしれないですね。人というかネットワークでビジネスしているというのがあると思います。値段とかではなく、誰から買うか?誰を知っているか?というがポイントになるので、タイでビジネスする際にはとても重要なんですよね。
柚村:
ブースでタイだけではなく、近隣国のラオスやカンボジアやベトナムまで手がけている運送業・ロジスティクス関連企業の来場者とたくさん会話できました。そこで「越境輸送はやらないの?」と聞かれまして、我々はまだリソースがないので、そこまでやれないのですが、陸続きの国の場合は隣の国もターゲットエリアになると再認識し、越境輸送でもビジネスができれば、さらにチャンスは広がるなと思いました。
あとは何より嬉しかったのは、インターナショナルピッチで弊社の北川が優勝できたことです!それを聞きつけた方々が興味を持ってたくさんブースに来てくれました。本当にうれしかったです。
これから海外展開を目指しているスタートアップ企業へ
坂口:
最後ですが、貴社の今後の海外展開や、これから海外展開を目指している日本のスタートアップに対して一言いただければと思います。
小林:
チャレナジーという会社で働いていて、とても楽しいですし、やりがいを感じています。こういったイベントに参加させていただくと、皆様の取り組みや情熱を知ることができて、勉強にもなりますし、刺激をもらえるのも凄く楽しいです。もし、海外展開を考えているスタートアップの企業であれば、こういったイベントに参加して、まずは横の繋がりからの刺激をもらうのも1つの方法としていいのかな、と思いました。
竹田:
ABEJAの中でも海外展開するときには色々とあったみたいでして、ちょうど2年前のシンガポール進出のときですね。社内的には「今、やる必要あるのか?」「役員までを外に出してもやる意味あるのか?」とか、そういった話があったのですが、当時の決断の速さがよかったです。AIのマーケットで動きが早いんですね。たとえば、いまインドネシアのAIマーケットに入ろうとしても、以外とローカルのAIスタートアップも強いですし、タイであっても、中国のAIスタートアップが既に進出してきています。1年差が確実にでかいので、悩んでいるのであれば、早いうちに進出したほうがいいと思います。
坂口:
社内で反対意見が出てるくらいの早いタイミングで出るのがいいのかもしれませんね
竹田:
ひょっとしたらそうかもしれませんね。若手の社員を実験的に海外進出させるのではなく、役員レベルが投資家にコミットして海外に打って出るくらいの方がいいと思います。
伊野:
私もABEJAさんと似ていて、思い切って海外に進出しちゃったほうがいいと思います。弊社もそうですが、日本でリサーチして仮説を立てていても、海外に行かないことには現場感とかチャンスは意外と掴めないです。人脈なんかは特にそうです。コミットして海外に出て、そこに全力をかけるからこそ広がっていく世界があると思っています。弊社も創業者が自ら6年前にシンガポールに乗り込んでいますし、海外にかける想いが強いのであれば、役員レベルの方が自ら行った方がいいと思います。
柚村:
弊社の海外展開についてのトッププライオリティはタイです。「必ずここで結果を出す」という想いでやっていきます。その後は、同じアジアの中でインドネシアやベトナムなどのモータリゼーションの大きな国に進出しようと思っています。
今後の海外展開を考えているスタートアップに対しては、皆様と一緒で。早めに一歩踏み出したほうがいいし、トップ自らが乗り込むのも大事だと思います。
とはいえ、1人だけだと凄い寂しい世界になってしまいます。今回のイベントでもそうですが、社外にも同じような立場の仲間は沢山いるんだなと思えたことは本当に嬉しかったです。
ジェトロさんの支援も凄くウェットにサポートしてくれて、本当にジワジワありがたいです。これから海外に乗り込もうと思っている企業様がいれば、やっちゃえばいいし、ウェットにサポートしてくれる人たちが周りに沢山いるんですよ、というのを知っていただければと思います。
坂口:
ありがとうございます。ジェトロはスタートアップの支援に力をいれていますので、タイにいらっしゃったら、気軽に情報収集がてらお立ち寄りいただければと思います。スタートアップの皆様の支援をさせていただくのは、凄く楽しいですし、刺激になっています。私たちを仲間だと思ってほしいですね。
それに、タイを含めて世界23カ国のジェトロ事務所でスタートアップ支援を強化していきますので、何かあれば、ぜひ相談ください。