今話題のミラーレスカーとは?特徴や現状を解説

今話題のミラーレスカーとは?特徴や現状を解説

自動車業界の進歩は目覚ましいものがあります。国内では「自動車離れ」なる言葉もありますが、世界的に見れば自動車産業の成長は歩みを止めません。

自動運転のように世間的に大きな話題を振りまく新技術もあれば、自動車業界で注目を集める技術もあります。ミラーレスカーもまた、業界内では大きな話題を集めているモデルです。

ニュース等で名前は耳にしたことがあるものの、ミラーレスカーがどのようなものなのかよく分からないという人も多いのではないでしょうか? そこでミラーレスカーとは一体何なのか、概要と現在地を見ていきましょう。

ミラーレスカーとは – 概要と仕組み

ミラーレスカーは決して難しい話ではなく、単純です。「ミラー」「レス」という名の通り、鏡がない車を指します。

一般的な自動車には鏡がいくつか用意されていますよね。近年では両ドアに付けられているミラーや車内には後方を確認するためのバックミラーがありますが、ミラーレスカーはそれらがありません。

自動車に鏡を用意していないと聞くと「後ろはどうやって確認するの?」と思うかもしれませんが、後方はカメラによって確認するのです。

自動車の登場は戦前で、当時はまだまだ鋼材にガソリンを搭載してタイヤを付けた程度のものでした。そこから技術も高まり、近年は自動車も電子化が進んでいます。インターネットとの接続も当たり前のように行われていますし、冒頭でも触れたように自動運転技術も登場してきました。

事実として完全な自動運転はまだまだ先ですが「半自動運転」「一部自動運転」とも言える技術は実用化され始めています。それらの要因に電子化が挙げられますが、ミラーレスカーも電子化が進んだおかげで可能になったのです。

たとえば昨今であれば、駐車時にギヤを「R」に入れればバックカメラの映像が出てくるタイプは珍しくありません。つまりミラーレスカーは技術的な観点からみると、決して難しいものではなくなっているのです。

ミラーレスカーが注目を集めるポイント

上述した通り近年の自動車技術ではミラーレスカーの開発は不可能なことではありません。ただ、ミラーのない車がなぜここまで注目を集めているのでしょうか。

デザイン

まずはデザインです。ミラーの制約がなくなれば、デザインの幅もさらに広がるでしょう。

旧車に分類されるような古いモデルであればボンネットの脇に、近年の自動車には両ドアのサイドにミラーが搭載されていますが、これらは法律によって設置が定められていたため絶対に付けなければならないものでした。

ですがミラーレスカーがOKになればミラーそのものが絶対に必要なわけではありません。後方を確認できるモニターを車内に用意すれば良いので、車のデザインが変わります。

これまでは均一的なデザインから「どれも同じに見える」と揶揄されることもありましたが、今後は今まで以上にデザインを重視したモデルも出てくるでしょう。

機能性

外見のみならず、機能性のメリットもあります。近年の自動車は電子化が進んでいますが、ミラーが搭載されつつ全方位のカメラ映像をモニターに映し出せる技術も登場しています。なかには全方位にカメラを搭載し、まるで上空から俯瞰しているかのような映像を確認できるものまであるのです。

それらのカメラから映し出される映像は目視以上の視野を誇ります。自動車はどうしても死角になってしまう角度がありますよね。ですがミラーレスカーはバックのみならず、様々な角度をモニターで映し出しますので死角を作りません。そのため、現状よりも安全性が高まるのではとの声もあります。

カメラのモニターを通しての確認になりますので、実際に見るよりも鮮明に見えるメリットもあります。例えば夜間であれば、モニターで調節することによってより鮮明な映像を確認でき、目視よりも断然確認しやすくなります。

さらにバックミラーで後方確認をする場合、車に多くの荷物を搭載すると確認できなくなってしまう車種もありました。

これもまた、ミラーレスカーが解決してくれます。目視ではなくモニターを通しての確認になりますので、車の中に大きな荷物があったり座席に大柄の人が座っていても、視界確保に問題はありません。

ミラーレスカーに対する懸念事項

Photo credit: daveynin

メリットがある一方で懸念する声があるのも事実です。

代表的なものが時差について。画面に映し出される映像と現実でのタイムラグが生じるため、いざという時にタイムラグが原因で判断を間違えてしまうのではないかとの懸念があります。

死角を無くしてくれる点はメリットですが、タイムラグのおかげでまだ大丈夫だろうと思って油断していたら事故を起こしてしまったということも考えられます。完全にリアルタムでの映像が可能であれば良いのですが、コンマ何秒のタイムラグでさえ大事故に発展する可能性も拭えません。

また単純な話ですがモニターやカメラが壊れてしまった時はどうするのかという問題もあるでしょう。万が一、運転中にモニターが故障してしまった場合、ミラーレスカーではどのように後方を確認すれば良いのか。これも懸念されている一つです。

主要な車種とメーカー

ミラーレスカーの開発に乗り出しているメーカーはとても多いです。2016年6月に世界でミラーレスカーが解禁されました。

世界を主戦場としている日本の自動車メーカーたちも当然開発に名乗りを上げていますし、日本以外のメーカーも開発を進めています。

まだまだコンセプトカーの段階ではありますがトヨタ、日産、マツダといった国産メーカーから、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMW、テスラといったメーカーが着手。

自動車部品大手メーカー、コンチネンタルに関してはかなり完成度の高い試作車を用意しているようです。

ミラーレスカーの現状と今後の展望

国内でも2016年6月に国土交通省より道路運送車両の保安基準等の改正が発表され、2019年6月からミラーレスカーが「解禁」となります。(新型車の場合、2019年6月18日以降発売が可能)

今後の展望としては、当初は様子見のメーカーも多いと予想されています。

当然ながら法律が整備されたからといって必ずしも売れるとは限りません。実際に利用した人間の声が届かない限り、まだまだ怖くて購入できないという人も多いでしょう。ましてや国内の自動車産業は下火とさえ言われていますし、国民気質的に保守的な一面もあるので、ミラーレスカーが登場しても採算が合うのかという心配もあるでしょう。自動車メーカーとしても技術的に「完璧」と言える段階でなければ販売できません。

また、自動車メーカーとしてはミラーレスカーの位置付けにも悩んでいるようです。ミラーレスカー専用車として販売するのか、あるいはグレード展開でミラーレスカーを用意するのか。

前車の場合、開発コストは抑えられますが売れなければコスト回収がままなりません。後者の場合、同じモデルでミラーレスカーとミラーのあるモデルを用意するので開発コストがかかるものの、他のグレードも展開するので「まったく売れない」という事態を回避できます。

とはいえ、2019年まではまだ3年の時間がありその間に自動車業界のトレンドや状況も変わっていくことが予想されます。

いざ販売が開始された時、各社からどのようなミラーレスカーが生み出されているのか。それまでは各社の動向から目が離せません。

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